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甲州種と畑

日本の固有品種としては唯一ヴィティス・ヴィニフェラ種に属する甲州ブドウは、8世紀以降の記録にその名が残されています。果実は苦味物質を含む厚いピンク色の果皮に覆われ、他の伝統的なヨーロッパ種ほど糖度は高くなりません。このブドウの主な産地は、東京の西にある山梨県と長野県で、日本の歴史上の人物たちからも、美味として珍重されてきました。もとはといえば甲州ブドウは、見た目、濃厚な甘み、大量生産が重要視される生食用として栽培されていました。こうした目的を達成するため、生食用ブドウは天蓋に仕立てて栽培され(棚仕立て)、1本の樹から200房ものブドウが収穫されています。反対にワイン用ブドウは、風味を凝縮させるために低収量で育てられ、見た目は重視されていません。

甲州ブドウの畑を立ち上げるために日本に招かれたのが、ブドウ栽培の分野で第一人者として知られる、ニュージーランドのリンカーン大学のグレン・クリーシー教授でした。高品質のワインを日本で効率的に生産するため、ニュージーランドの気候と土壌で培った経験を生かし、教授は新しい栽培技術を導入して成功を収めていったのです。

テクノロジーと研究を重ねて、ワイン用ブドウを栽培するためのもっとも効率的な方法を選んでいきました。その結果たどり着いたのが、VSP(新梢を垣根で垂直に上に誘引する方法)、つまり果実の成熟促進と病害防止のため、日光を最大限に取り込めるように、ブドウを垣根で仕立てる方法だったのです。シゼンの2009年ヴィンテージは、こうした方法で栽培された日本初のワインです。もともと甲州ブドウは生食用に作られていたため、私たちのワインを造るための高品質な果実を収穫するべく、当初は悪戦苦闘が続きました。ワールドクラスのワイン造りにふさわしいブドウを生産するため、農家と密接に協力しながら、長い時間をかけてブドウの新規植樹を行い、既存の畑の改良にも力を注いできたのです。

現在では、日本全国10箇所にあるさまざまな畑で甲州ブドウが栽培され、甲州ブドウに最適なコンディションの研究が続けられています。